日本の伝統色 ミニ知識
「茶」
茶色も自然界のなかで樹木の幹や土の色として私たちに身近な色です。茶色という表現のもとになっているのは、お茶を焙じてほとんど葉緑素がなくなった、いわばほうじ茶の色だといえます。
しかし、茶という言葉が一般的になっていくのは鎌倉時代以降のこと。またそのころは緑茶や抹茶が飲まれ、茶色のお茶の普及は江戸時代以降なので、そのころについた名だと考えられています。ただ、19世紀半ばに書かれた『
茶の色名
茶の色名には、「唐茶(からちゃ)」「団栗(どんぐり)」「榛摺(はりずり)」「檜皮(ひわだ)」「阿仙茶(あせんちゃ)」「肉桂(にっけい)」「柿渋(かきしぶ)」「栗(くり)」「白茶(しらちゃ)」「生壁(なまかべ)」「木欄(もくらん)」「苦(にが)」「団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)」「土器茶(かわらけちゃ)」などがあります。
茶系の色の染料
茶系の染料として日本では古くから
渋柿の実を青いうちに砕いて絞り、その液を二年あまりおいて自然に発酵させたものの上澄み液を採取して、染料として使います。京都府南山城地方では、茶畑の周囲に柿の木を植えて、お茶の葉に直接日光が当たるのを遮ったため渋柿の生産量が多く、木津、和束、宇治田原周辺にはいまも渋柿屋があり生産が続けられています。
染司よしおか当主・染織史家 吉岡幸雄
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